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2018.11.05

Zeiss Ikon(レンジファインダー) ベッサとは一味違うなが〜い基線長が魅力のMマウント機

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ツァイス・イコン

魅力的な中古フィルムカメラを紹介するフィルムカメラ大全集。
今回は、伝統の会社名を受け継いだレンジファインダーカメラ、「ツァイス・イコン」(Zeiss Ikon)について紹介します。

ツァイス・イコンは、フォクトレンダー・ベッサ(BESSA)と同じく日本のコシナが製造した機種。
フィルムカメラの時代からデジタルカメラの時代への境目、2005年。
ちょうど、コシナが製造する趣味性の高いフィルムカメラが爛熟期を迎えつつある時代でもありました。

レンジファインダーカメラのツァイス・イコンは、そんなコシナ製レンジファインダーカメラの上級機として、ワンランク上の性能を目指した機種だといえるでしょう。

ツァイス・イコン最大の特徴が、レンジファインダーの基線長。
一般にレンジファインダーカメラのピント合わせの性能は、基線長の長さで決まります。

ツァイス・イコンは他のレンジファインダーカメラと比較してもたぐいまれな、非常に長い基線長を持ち、精度の高いピント合わせを可能としていたのです。
望遠レンズも近接撮影もどんとこい。
レンジファインダー用の明るいレンズも開放でばっちり使えますよ。

では、ツァイス・イコンがどんなフィルムカメラなのか見ていきましょう。

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ツァイス・イコン(フィルムカメラ)

まずは、フィルムカメラのツァイス・イコン(Zeiss Ikon)がどんな機種なのか、性能から見ていきましょう。

ツァイス・イコンの性能・スペック

ツァイス・イコン

形式 35mm レンズ交換式レンジファインダーカメラ
シャッター B、1秒~1/2000秒(マニュアル時)
8秒〜1/2000秒(AE時)
電子式
縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター
ストロボ同調速度1/125秒
露出計 TTLダイレクト測光
中央重点測光
露出 絞り優先AE
マニュアル
ファインダー 一眼式レンジファインダー
0.74倍
ファインダー枠
28mm・35mm・50mm・85mm(自動切り替え)
パララックス自動補正
レンズマウント ZMマウント
(ライカMマウント互換)
対応レンズ 各種M・L39マウントレンズ
電池 SR44またはLR44 x2
発売年 2005年

長野県は中野市に本拠をもつカメラメーカー、コシナが2005年に送り出したレンジファインダーカメラ。

それがツァイス・イコン(Zeiss Ikon)です。

コシナといえば、1999年から展開しているフォクトレンダー(Voigtlander)ブランドのレンジファインダーカメラや趣味性の非常に高いレンズラインナップで、現在もカメラ愛好家に親しまれている存在。

2018年現在展開されているレンズラインナップにも、カール・ツァイスとの提携により製造されたものがいくつも存在していますが、このツァイス・イコンも、同様にドイツのツァイスとのコラボレーションにて生み出されたモデルなのでした。

基本的にはライカMマウントのレンジファインダーカメラで、絞り優先AEを搭載。

ツァイス・イコン

というとベッサR2Aとの違いがわかりにくいのですが、明確に、ベッサとは格が違うこだわりが各部に盛り込まれています。

世界が認めたコシナの製品。
ベッサのネーム違いだったローライ35RFとは異なり、ツァイス・イコンはフィルムのレンジファインダーカメラの集大成ともいえる設計が盛り込まれていたのです。

超長基線長75mm

ツァイス・イコンの最大の特徴。

それが、基線長が非常に長いレンジファインダーを搭載しているということです。

レンジファインダーカメラとは光学式の「連動距離計」を搭載したカメラのこと。
連動距離計とは、2つの窓から入ってきた光をミラーやプリズムでファインダーに導いて、ファインダーの二重像を1つに重ね合わせることでピントを合わせる、という機構のことです。

上に書いたように、距離計には2つの窓があります。
じつは光学式の距離計には、この2つの窓の距離が遠ければ遠いほど(長ければ長いほど)、ピント合わせの精度がよくなるという特徴があります。

基線長

この記事で紹介しているツァイス・イコンの基線長は、ライカMマウントのカメラとしては非常に長い75.0mm。

これは、比較的基線長が長いとされるM型ライカの69.25mm(無限遠時)よりも長い、すなわち高精度なピント合わせを可能としているのです。

有効基線長で比較しても長い

ちなみに、この基線長という概念には、実際の基線長のほかに、有効基線長という概念があります。
有効基線長とは、実際の基線長に、ファインダーの倍率を掛けた数値です。

ツァイス・イコンのファインダーは倍率が0.74倍。

ということは、有効基線長は75.0 x 0.74で55.5mmということになります。

では他のレンジファインダーカメラと比較するとどうなのでしょうか?

ツァイス・イコン 75.0mm 0.74倍 55.55mm
ライカM2以降 68.25mm 0.72倍 49.86mm
ベッサR 37.0mm 0.7倍 25.9mm
ライカM3 68.25mm 0.91倍 62.1075mm
ライカIIIa 38.0mm 1.5倍 57mm

こうして比較してみると、製造元が同一のベッサRは勝負にならないばかりか、ライカM2以降のファインダー倍率0.72倍のM型ライカをゆうに超える有効基線長を持つことがわかります。
ツァイス・イコンはファインダー倍率が0.74倍なので、広角レンズの使用に便利なファインダー倍率0.7倍クラスの機種で比べると、一歩抜きん出ていることがわかるのです。

一方、有効基線長だけで比べると、50mmレンズの使用を前提としたバルナックライカやライカM3には数字の上ではわずかに負けています。
しかしながら、ライカM3の実基線長自体は他のM型ライカと同じなので、仮にファインダー倍率が同じツァイス・イコンのモデルがあったら、当然有効基線長も上回ることになるのです。
いっぽう、距離計窓が独立しており拡大の倍率がかかっているバルナックライカにも数字の上で迫っているのはツァイス・イコンの距離計のハイグレードさを示しているともいえるでしょう。

ツァイス・イコン

ただし、オリジナルのツァイス製品には負ける

しかし唯一、ドイツで作られたオリジナルのカール・ツァイス製品にはレンジファインダーのスペックで負けています

それが旧Contax

Contax II
Contax II(画像はカール・ツァイス・イエナ製)

旧Contaxのレンジファインダーカメラのファインダー基線長は以下の通り。

Contax I:101.7mm、途中で93mmに変更
Contax II:89.5mm(有効基線長63mm)

さすがは世界のカール・ツァイスとでもいうべきか。
そもそも旧Contaxレンジファインダーは、戦前の時点でもバルナックライカとは比べ物にならない基線長を持っており、戦後のカメラでもこれに匹敵するものはないのです。

さすがのツァイス・イコンも、本物のContaxには一歩譲ったとでもいうべきでしょうか。

もちろん、中古で手に入るライカMマウントのレンジファインダーカメラのなかで、ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)の距離計がトップクラスに高精度であることは言うまでもありません。
そもそも旧Contaxはレンズの選択肢も限られていることと、カメラ自体の性質自体がまったく異なるので、競合する機種ではないでしょうが……。

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使用感もコシナが特別にチューニング

ツァイス・イコン

このツァイス・イコン(Zeiss Ikon)をはじめコシナ製のレンジファインダーカメラは、そもそもコシナが製造していたフィルム一眼レフカメラ(CT-1 Super)を雛形として製造が始まったものでした。

そのため、初期のベッサLやベッサRではコシナCT-1の面影が各所に残っており、操作部材や使用感にも廉価なフィルム一眼レフカメラ「ぽさ」がありました。
分割巻き上げもできませんでした。

しかし、ツァイス・イコンは違います。
外装部品は、巻き上げレバーやシャッターダイヤルなどすべてブラッシュアップ。
コシナの安価なOEM機とは格の違う、上質な仕上げが楽しめます。

巻き上げの感触も秀逸。
廉価なフィルムカメラではけっして味わえない、するりと巻き上がるスムースな感触を楽しめます。
もちろん分割巻き上げ(小刻み巻き上げ)も可能になっています。

その他、構造面では巻き戻しクランクがボディ下面にあるのが特筆できる点といえるでしょう。

ツァイス・イコン

2005年発売ということで、現在中古で手に入るコシナ製レンジファインダーカメラのなかでも、終盤に登場した部類となるツァイス・イコン(Zeiss Ikon)。
コシナが単なるOEMメーカーからラグジュアリーなメーカーに上り詰めたシンデレラストーリーが生み出した名機といえるかもしれません。

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ツァイス・イコンという名前の由来

さて、このカメラにつけられた「ツァイス・イコン」という名称。
じつは、カール・ツァイスの伝統と密接に結びついたものなのでした。

ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)とは、1926年に設立されたカメラメーカーの名前。
旧Contaxをはじめ、かずかずの名機を生み出したメーカーの名称そのものなのです。

Ikoflex
製品のひとつ、Ikoflex

例えるなら、ニコンが「日本光学」という名前のカメラを発売するようなもの。
それくらいに特別な名称だといえるでしょう。

コシナとの提携にあたり、カール・ツァイスがこの名称を用いたのには、ツァイスのカメラ製品の新たな一歩を踏み出すという節目だったからかもしれません。
コシナ・ツァイスの発表は2004年、発売は2005年。
いっぽう2005年にはカール・ツァイスと提携していた京セラがカメラ事業から撤退するという大きな出来事を迎えているのです。

ツァイス・イコンのバリエーション

ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)にはバリエーション機も存在します。

ツァイス・イコンSW(Zeiss Ikon SW)

ツァイス・イコンSWは、ファインダーを省いた広角専用機種。
露出計は内蔵されており、LEDで表示されます。

ライカMDaやベッサLに広角レンズを取り付けてストリートスナップを楽しむのと同じように使えるカメラです。

ツァイス・イコンと同時発売のZMレンズたち

Biogon 35mm F2 ZM

コシナといえば、2018年現在はむしろカール・ツァイスブランドやフォクトレンダーブランドで、ミラーレス一眼用のレンズを販売しているメーカー、という印象が強いかもしれません。

ツァイス・イコンと同時に送り出されたカール・ツァイス銘のVMマウントレンズは、コシナ製ツァイスとしては初期のレンズたち。
もしフィルムでコシナ・ツァイスのレンズを使うなら、ぜひツァイス・イコンがおすすめです。

初期のコシナ・ツァイスレンズ一覧

ディスタゴンT* 15mm F2.8
ビオゴンT* 21mm F2.8
ビオゴンT* 25mm F2.8
ビオゴンT* 28mm F2.8
ビオゴンT* 35mm F2
プラナーT* 50mm F2
ゾナーT* 85mm F2

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レンジファインダーカメラをフィルムで楽しんでみませんか?

多種多様なライカMマウントレンズが使えるツァイス・イコン。

実用面で考えた場合にも、絞り優先AE搭載機としてはライカM7よりもずっと安価な値段で中古を購入することができますよ。

ミラーレス一眼で初めてレンジファインダーカメラ用のレンズに触れた方も、ぜひ中古のボディでフィルムの味わいを体験してみませんか?
そんなとき、ツァイス・イコンはぜひおすすめの機種のひとつです!

著者紹介:サンライズカメラ

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